中学生で「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」を薦められた私

本とクッキー




「ちょっと読書好きになってきたんだよね〜」

読書好き4歳年上のネッ友(ネット上の友達)にそう伝えた私、「お前にぴったりだと思うぞ」と言われた作品が、この「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」でした。

調べてみるとなかなか可愛い表紙です。

親に頼みネットで注文、コンビニ受け取りをしてさっそく読み始めました。

登場人物が色々と衝撃的すぎる

主人公は田舎の中学生、山田なぎさちゃん。父は亡くなり、母と兄の3人暮らし。

しかしお兄さん、急に引きこもりになって色んなグッズを買い漁り、お父さんが遺したお金は底を尽きます。

日々の生活は母のパート代と少しの生活保護費で成り立っています。

そのためか、なぎさちゃんは中学卒業後は自衛隊に入隊したいと言っています。

そして、なぎさちゃんの学校に突然転校してきた、芸能人の娘、海野藻屑ちゃん。

いや、名前よ、藻屑て。

そしてこの子も、最初は「なかなか特殊だな。」と思ってしまうような子で、自称人魚です。

ラストまで読むと、「これがこの子の自分を護る術(=砂糖菓子の弾丸)だったんだな」と理解させられます。

そんな藻屑ちゃんのお父さんはすぐに手が出てしまうタイプ。

お父さんの手出しが悪化していくと同時に、なぎさちゃんと藻屑ちゃんの別れが近づいていきます。

可愛い表紙とは裏腹にとっても暗い内容なので、気分が落ち込みすぎない人が読むにはいいんだと思います…

さて、何故薦められたのか?

これ、実は解決できていません。

当時中学生だった私と同年代の子のお話だったから薦められただけかもしれないし、「君は『砂糖菓子の弾丸』を撃っているだけだぞ、現実をみて『実弾』を撃て」という警鐘だったのかもしれない。

薦めてきた本人には、内容が内容なのでなんとなく聞けず、もうそのまま16年程の月日が経ってしまいました。

連絡取ろうと思えば、取れるんですけどね…多分(笑)

生きていくには、大人になるには「実弾」を撃つしかない、そう考えていたなぎさちゃん。

だけど、愛されたいため、自分を護るため、「砂糖菓子の弾丸」を打ち続けた藻屑ちゃん。

う〜〜ん。

現実主義者のなぎさちゃんも、現実逃避を続けた藻屑ちゃんも、どっちもよく分かる。

当時の私は、今の時代でいうヤングケアラーに片足を突っ込んでいる状態だったとは思います。

弟妹の保育園のお迎えにいったりご飯をあげたり、休日親が仕事の時は面倒を見たり。

「それが当たり前」で育ったんですけど、それが「普通ではない」んですね。

でも、本当に当たり前だと思っていたので、誰かに注目して欲しいとか、助けてほしいとか、全くそんなことを思ったこともなく。

だから、別に「砂糖菓子の弾丸」は私には不要だったんですよね…

逆に、生きていくために、「ある程度の家事・育児能力」という私なりの「実弾」を撃っていたように思います。

…やっぱり、「同年代だから読んでみ!」だったのかもしれません(笑)

親となれば「砂糖菓子の弾丸」は撃っている暇もない

毎日が慌ただしく過ぎていきます。

1人の子供を育て上げるために毎日奮闘していると、いやでも現実をみるしかありません。

承認欲求は大人になってもある程度皆さんあると思いますが、それはあくまで事実に基づいての評価。

わざわざ、嘘を作り上げてまで評価してもらおうなんていうことは、大半の大人はしません。

注目されるようなお仕事をされている方はまた別かもしれませんが…

だから、基本的に「砂糖菓子の弾丸」を撃っていられるのは、子供のうち、大体は中学生以下までだと考えます。

誰かの気を引きたいとか、そんな些細な思いが材料になる「砂糖菓子の弾丸」。

娘を持つ身としては、子供には基本的に「実弾」で闘ってほしいところですが、「砂糖菓子の弾丸」をポコポコ撃ち始めたとしても、親として包み込んでいきたいなと思います。

主人公たちと同世代だったあの頃と、大人になってしまった今と。

「感想」の着地点が、少し変化してきたなあなんて感じる、29歳最後の冬です。(外は大吹雪♡)

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